休職延長を言いづらいと感じる理由|罪悪感の正体と伝え方実例

人間関係・コミュニケーション

休職延長を言いづらいと感じるときに

休職が1か月、3ヵ月となってくると、
「休職期間の延長を言い出すのが億劫だ」「申し訳ない」
と感じたことがある方は多いのではないでしょうか。

人事や上司に話を切り出すだけでも緊張するし、「早く復職してほしいと思われているかも」とプレッシャーを感じる人もいるでしょう。

そう感じる背景には、私たちの“考え方のクセ”が関係していることがあるのかもしれません。

「どう伝えればいいかわからない」「言い出すタイミングを迷っている」──そんな方に向けて、この記事では心理的な整理と伝え方のヒントをまとめました。

休職期間の延長を言いづらいと感じる理由とその背景、そしてその対処法について、
わたしの体験談をふまえてご紹介します。


「休職延長を言いづらい」と感じる3つの理由

── 背景にある3つのプレッシャー

休職を延長することになるかも…と考えたとき、
次のような思考や感情に悩まされることがあります。

  • 会社から「そろそろ復職してほしい」と思われているだろうというプレッシャー
  • 休んでいる自分に対する、同僚や上司への申し訳なさ
  • 「休職延長=努力不足」と自分を責めてしまう感覚

これらはあくまで一例ですが、
こうした気持ちは、責任感が強く、まじめに働いてきた人ほど感じやすいものです。

でも、会社が本当の意味で望んでいるのは「健康な状態での復職」であり、
“早い復職”ではないはずです。


言いづらさの裏に隠れた「認知のクセ」

── 自分を追い詰めてしまう思考パターン

休職延長を言いづらいと感じるとき、心の中では次のような“認知のクセ”が働いている可能性があります。

べき思考

長く休んでいるのは良くない。早く復帰するべきなんだ。

会社は早く復職してほしいにちがいない。期待に応えなければ!

「べき思考」とは?
自分や他人は「こうあるべき」「こうすべきでない」という硬いルールや基準にとらわれ、柔軟性を失う認知のゆがみの一つです。

結論の飛躍

もし延長することを伝えたら、ダメな人間だと思われるに違いない

「結論の飛躍」とは?
根拠が不十分なのに、早まって悲観的・否定的な結論を出してしまう思考のクセです。

こうした考え方は、状況を正確に捉えることを難しくしてしまいます。
相手がどう思うかは実際にはわからないのに、「きっとそうだ」と自分で決めつけてしまう。
それが “言いづらさ” や “罪悪感” を強める原因になります。


👉関連記事:認知のクセに気づくワークで思考を整理する方法


CBT的に考える「思考の整理」トレーニング

── 自動思考を書き出して、現実を見直す

ここで役立つのが、CBT(認知行動療法)の「思考の整理」のステップです。
感じたこと・考えたことを紙に書き出し、次のように整理します。

  1. そのとき浮かんだ考え(自動思考)を書く
  2. その考えは事実?推測?を分ける
  3. もう一つの見方を探してみる

たとえば──

例①

自動思考:「早く復帰しないと会社に迷惑をかける」

適応思考:
会社は“元気に働ける状態で戻ってほしい”と思っている可能性が高い。
体調が整わないまま戻っても、業務についていけないかもしれない。
焦って復職しても再休職のリスクが高まるのではないか。

例②

自動思考:「延長したら、きっとダメなやつだと思われる」

適応思考:
相手がどう思うかは自分にはコントロールできない。
“自分を大切にする判断”をすること自体、誠実な行動。
自分はダメじゃない。だって治療をがんばっているんだから。

このように、考えを書き出して客観的に状況を検討し、
適応思考(より柔軟で健康的な認知)に翻訳していく作業です。

これにより、認知の歪みがゆるみ、客観的に状況を捉えやすくなるため、
現実的に「必要な休職期間の延長」を自信と説得力を持って相手に伝えられるようになります。


👉関連記事:認知のクセを整える|自動思考を整理する実践ワーク


補足:人事や上司に「そろそろ復帰できそう?」と聞かれたら

SNSなどを見ていると、会社の人事担当者や上司から「いつごろ復職できそう?」と聞かれて戸惑った、という話をよく目にします。
実際のところ、相手には悪気があるわけではなく、単に“回復を願う言葉”として発している場合も多いと思います。

もしその言葉がプレッシャーに感じることがあれば、そこにも対処法はあります。

すぐに期待に応えようと話を合わせたり、何で理解してくれないんだと感情的になるのではなく、
冷静に淡々と回答するのが効果的です。

下記はアサーションの ”Iメッセージ” を使いながら回答する例です。

復職を待っていてくださっていることは、とてもありがたく心強く思っています。
ただ、医師からはまだ復職のOKが出ていない状況です。
再発を防ぐためにも、もう少し治療と復職準備に専念してからきちんと復帰したいと考えています。

感謝と現状、そして自分の意向をバランスよく伝えることで、
相手も納得しやすくなり、面談が穏やかに進むのではないでしょうか。

相手もメンタル不調や病気のことをよく理解しているとは限りません。事実を伝え、現状を相手にも理解してもらうようにこちらから伝えることも時には必要なことです。

わたし自身、休職中の面談でこのように伝えたことで、自分でも納得感があり、相手にも伝わったという手ごたえが感じられました。


👉関連記事:復職面談で役立つアサーションの伝え方


自分を責めないためのリカバリーステップ

── 延長は“逃げ”ではなく、“回復を大切にする選択”

休職を延長することは、決して失敗ではありません。

  • 「今の自分」を受け入れること(自己受容)
  • 医師や支援機関に相談しながら整えること
  • 比べず、焦らず、自分の回復のペースを守ること

休職期間の延長を伝える勇気は、“未来の自分を大切にする力”でもあります。
焦らずに体調を整えた時間は、復職後の安定につながります。

急激なダイエットはリバウンドしやすい、ということに似ていますね。


まとめ:延長を伝える勇気は、回復を大切にする力

「休職の延長を言いづらい」と感じる状況は、自分を追い詰める思考のサインでもあります。
休職延長を伝えることは、弱さなどではなく、再発を防ぎ、現在の自分だけでなく未来の自分を守るための選択です。

焦らず、自分のペースで。
その一歩が、確実に回復につながっています。


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