【復職準備から復職後まで】休職からの復帰で不安だった私の「リアルな壁」とその対処法

復職のこと

復職への期待と不安、そしてこの記事で伝えたいこと

休職から数ヶ月、「このまま会社を辞めてしまいたい」と何度も考えました。けれど、休職期間が5ヶ月ほど経った頃、ふと「もしかしたら、また働けるかもしれない」という、ささやかな心境の変化があったんです。そこから、通勤に耐えられる体力づくりを意識し始めました。しかし、復職を決めたからといって、不安がなくなったわけではありませんでした。むしろ、「会社の同僚からどんな質問をされるだろう?」「扱いにくい人だと思われたらどうしよう…」といった心配事や、薬の副作用で太ってしまったことによる「見た目の変化に対する他人の目」への恐怖など、次々と新たな不安が押し寄せました。

この記事では、私が「復職する気持ちになれるまでの心境の変化」とその要因、そして「復職する直前の不安と、実際に復職した時にどのように対処したのか」というリアルな体験を基に、「リアルな壁」乗り越えるための具体的な対処法を個人の経験談をもとにお伝えします。

1.復職時期の決定:焦りは禁物

いつ復職するか? その時期を決める要素は、大きく分けて体調の回復状況と休職可能期間(または期限)の2つだと私は思っています。

私の場合は、通院を始めたばかりの頃にクリニックの先生から「会社に休職可能期間を確認してきてください」と言われました。一般的に休職期間は会社や勤続年数によって異なりますが、数ヶ月から数年間とかなり幅があるようです。

ちなみに、私が休職できる期間は、最終的に6ヶ月間ということになりました。そこに向けて先生や心理士さんによって治療プログラムの計画が立てられました。

休職の期限までにできること、それは素直に治療に専念することが一番だと私は考えています。私自身、先生の処方どおりに正しく薬を飲み、睡眠や食事、運動に気を付け、リワークで認知行動療法を学び、復職に向けた訓練に取り組みました。

当初は「復職に向けて頑張るぞ」という気持ちは一切なく(むしろ「どうせ退職するけど。。」という気持ちでした)、ただ目の前のことに取り組む、ということを継続した結果、いつしか自然と「まあ、とりあえず復職してみて、その後のことは元気になってから考えればいいか」と思えるようになっていました。ある意味、復職に対してゆるく考えることができるようになっていたのです。

2.復職に関する会社とのやり取り:時期ごとのポイント

会社とのコミュニケーションは、休職のフェーズによって対応を変えることが大切です。

休職初期:休むことに専念する時期

ストレスや疲労で正常な判断ができない状態で、その時の自分の気持ちや感情を会社側の担当者に伝えることは避けましょう。

回答例としては、

今はまだきちんとした回答ができる状況ではないので、もう少し体調が落ち着いた頃に復職に関することをお話できたらと思っています。

【ポイント】

結論はその場で出さないけれど、ちゃんと復職に関する話をする意思があることを伝えておきましょう。無理して復職する、と伝える必要はないと思っています。

休職中期:復職の意思を伝える時期

体力が少しずつ戻ってくるとともに、休むことにもようやく慣れてくる頃です。しかし、まだいつ復職できるかを明言することは難しい段階でしょう。

回答例としては、

復職することを前提に、今は治療に専念しています。復職する時期については自分では判断できない状況ですが、先生から何か進捗があればまたお伝えします。

【ポイント】

復職の意思があることを伝えます。人事の人は具体的な時期を聞いてくるかもしれませんが、復職時期は先生の判断になる、ということも伝えておくのが良いでしょう。この時点でも「復職なんてしたくない!」と心の底では思っているかもしれませんが、保険として復職先を持っておくことは経済的にも精神衛生的にも大切なので、本心と違ったとしても「復職する」と軽く伝えておけば良いと思います。

※注意※ これらの回答例はあくまで一例です。わたしが実際に使った内容で、クリニックの先生や心理士さんに報告した時に、それはいい答え方ですね、と言ってもらえたものを参考に載せています。

休職後期:具体的な調整を行う時期

いよいよ体調も安定し、日中の活動にも慣れて復職準備に取り掛かる頃です。先生と復職日を確認し、会社の担当者にも伝えます。会社側も復職日が分かると、配属先や勤務形態、業務内容などを検討し始めるでしょう。この期間に、業務内容、時短勤務、配慮事項などを会社側とすり合わせしておくことが重要です。私の場合は、リワークに通って、朝9時から夕方まで活動することに体が慣れてきており、そのペースは崩さないで体力をつけていきたいと考えていたので、復職後もフルタイムで週5日勤務希望と伝えました。業務内容については、会社側から提案があり、時間に追われるような業務内容ではなかったのと、自分の適性に合ったものだったので、その提案を受けました。この時点で不安な点があれば遠慮なく(アサーティブに)伝えることも大切だと思います。

※注意※ 重度のハラスメントなどでもとの職場には戻れないケースもあります。あくまでここに書いたのはわたし個人のケースをもとに、今の職場が復職できる環境であるということを前提としています。

3.復職シミュレーション:転ばぬ先の杖

復職にあたり不安に思うことを事前に書き出し、対策を準備しておくことは非常に有効です。私は、事前に不安に思っていたこととそれに対する対応策を準備しておきました。

私の例:不安と対策

  • 不安: 通勤時にある登り坂を毎日歩けるか自信がない。バスを使うとお金がかかる。
    • 対策: 無理せずバスを使うことを自分に許可する
  • 不安: なんで休んでたの?と同僚から聞かれたら面倒だな
    • 対策:「心配してくれてありがとうございます。おかげさまで今はもう回復しました!」など、あらかじめ回答を準備しておく
  • 不安: 太ったことを指摘されたら落ち込みそう
    • 対策: 本当にそんなこと言う人いそうか?たぶんいない。万が一聞かれたら「薬の副作用で」と伝えることに決めておく。

復職してからしばらくは、ちょっとした出来事でもそれが刺激となり、ストレスにつながることが考えられます。こちらが狼狽するような言葉を投げかけられたり、聞かれたくないことを質問されたりしたら、ドキッとしてものすごいストレスを感じて疲れてしまいますよね(実際にそんなことはほとんど起きませんでしたが)。

もしもの時を想定して事前に準備した回答のとおりに答えたり、ときには適度にスルーしたりすることで、落ち着いて対応することができます。これは、テスト前に準備をして「ああ、この問題知ってる!」と思いながらスラスラ答えるのと、それに対して準備不足で焦ってしまう状況と似ているかもしれませんね。

4.復職後の私を支えた4つのこと

そのほかに、復職後にこうしよう、と自分で事前に決めていたことをいくつか。

  • 有休残を気にしないで休みたいときは休む(欠勤も恐れない)
  • サポート資源を勝手に選出(家族・友人・職場の親しい人)
  • 簡単にできるコーピングを準備
  • スマートウォッチでストレスマネジメント

有休残を気にしないで休みたいときは休む(欠勤も恐れない)

わたしが復職した時点で当年度の有休残は5日間でした。次の有休付与まで5カ月間だったので、月1は休めると思っていましたが、それ以上休んでもいいと自分に許可していました。欠勤で給料が減ることより体調が悪くなることのほうが避けたいことと考えたからです。

サポート資源を勝手に選出(家族・友人・職場の親しい人)

「サポート資源」とは、自身が問題や困難に対処していく上で、心理的な支えや具体的な助けとなる人や環境、制度などのことを指します。

わたしの場合は、姉や母、職場の信頼できるSさんやIさんをサポート資源ととらえています。これは相手に許可を得なくても勝手に決めていいです。

休職する前までのわたしは、悩みをあまり他人に相談しない自己完結型に人間でしたが、復職後はこういう人たちにちょっとしたときに話を聞いてもらうようにしていました。みんな話すとちゃんと聞いてくれるし、これにより悩みが大きくなる前に解消することができました。

簡単にできるコーピングを準備

コーピングとは、ストレスマネジメントにおいて非常に重要な考え方で、ストレスに直面した際に、そのストレスに対処するために意識的に行う思考や行動のことを指します。

リワークの中でもコーピングに関する講義やワークはたくさんやりました。その中でわたしが準備したのは、香りやアロマによるコーピングです。一つは、リワークに通っていたとき自律訓練法の時間に使っていたお気に入りの香りのハンドクリームを会社でも常にそばに置いておき、リラックスしたいときにクリームを塗って深呼吸する、というもの。二つ目は、お気に入りのアロマオイルとデスクで使える携帯用アロマストーンを会社で使うことでした。どちらも気持ちが落ち着いて効果が高かったです。

スマートウォッチでストレスマネジメント

これは前回のブログでも紹介しましたが、ストレスマネジメント機能があるスマートウォッチを入浴時間以外はいつも身に着けていました。ストレス反応を検知した時間帯を数時間後に通知でお知らせしてくれるので、そのときの状態や状況を思い出して、ストレスと感じる原因を見つけるようにしていました。わたしの場合は、おなかが痛いときや周囲の音がうるさい、と感じるときにストレスを感じやすかったことがわかりました。そういうときは、席を一度離れたり、前述のアロマで気分転換するようにしていました。

まとめ:復職は「終わり」ではなく「新たなスタート」

復職という大きな一歩は、決して簡単な道のりではありません。休職中に感じた不安や、復職後に直面するであろう「リアルな壁」は、私も身をもって経験してきました。完璧を目指す必要はありません。大切なのは、焦らず、自分のペースで、そして必要な時には周囲のサポートを積極的に求めることです。そして、コーピングやサポート資源など、自分を支えてくれるいろんな装備品をたくさん携えておいて、いざというときにすぐに対応できる準備もとても大切です。

少しでも参考になればうれしいです。

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